芥川賞受賞作家・鳥山まこととは?
鳥山まこと(とりやま・まこと)さんは、1992年兵庫県宝塚市生まれの小説家です。
京都府立大学を卒業後、九州大学大学院修士課程を修了。
建築士として実務に携わりながら、小説執筆を続けてきました。
2023年に「三田文學新人賞」を受賞してデビュー。
今回の芥川賞は、初ノミネートでの受賞となり、
文学界から大きな注目を集めています。
芥川賞受賞作『時の家』とは
『時の家(ときのいえ)』は、文芸誌『群像』に掲載された短編小説で、
第174回芥川賞を受賞した作品です。
建築士としての作者の視点が色濃く反映されており、
「家」という空間を通して、時間や記憶、人の営みを描いた点が高く評価されました。
『時の家』あらすじ(ネタバレ控えめ)
物語の舞台は、取り壊しを控えた一軒の古い家。
空き家となったその場所を訪れた青年は、
スケッチブックに床や柱、天井などの細部を描き写していきます。
その行為を通して、かつてその家で暮らした
三世代の住人たちの記憶や人生が、静かに立ち上がってきます。
大きな事件が起こるわけではありません。
しかし、そこにあった生活の気配や、
失われていく時間の重なりが、読者の心に深く染み込んでいきます。
作品解説|「時間」と「空間」が交差する文学
『時の家』の最大の特徴は、
空間そのものが語り手のように機能している点です。
家の構造や傷、古びた跡は、
単なる建築的ディテールではなく、
そこに生きた人々の感情や記憶を映し出す装置として描かれています。
建築用語や写生の描写は、
冷たさを感じさせることなく、
むしろ人間の温度を伝える役割を果たしています。
まとめ|静かな余韻を残す芥川賞受賞作
『時の家』は、派手さはないものの、
読むほどに心に残る静かな力を持った作品です。
時間は確実に過ぎ去っていく。
それでも、確かにそこに存在した暮らしや想いは、
消えきることなく空間に刻まれている――。
鳥山まことさんの今後の作品にも、
大きな期待が寄せられる芥川賞受賞作と言えるでしょう。

